ブラックミラーシーズン3第1話『ランク社会』に関する、ネタバレなしの感想や評価と、ネタバレありの結末や考察を書いています。
目次
ブラック・ミラー シーズン3-1「ランク社会」より
基本情報
邦題 | ランク社会 |
原題 | Nosedive |
監督・ディレクター | Joe Wright/ジョー・ライト |
原作・脚本 | Story based on Charlie Brooker/チャーリー・ブルッカー Script witten by Rashida Jones/ラシダ・ジョーンズ Michael Schur/マイケル・シュアー |
主演男優 | James Norton/ジェームス・ノートン |
主演女優 | Bryce Dallas Howard/ブライス・ダラス・ハワード |
動画配信サービス | Netflix |
ジャンル | 海外ドラマ/SF/ヒューマンドラマ |
おすすめ度 | ★★★★★★★★☆☆(8点) |
エピソード1ストーリー
SNSの評価が、そのまま実生活での”ランク”に直結する世界。
”リア充”になれるかどうかは、他人の評価(星1つから星5つを送り合う)で決定されてしまう。
人生の豊かさを追い求める主人公の女性レイシーは、たくさんの星を送られて、本当の豊かさを見つけることができるのでしょうか?
ネタバレなし感想・レビュー
他人の評価や人気度が数値化されて見れるSNSの特徴を、極端に強調したとても興味深い設定の近未来世界が舞台です。
現代でも、ネット上での活躍度は、フォロワー数やいいねの数である程度測ることができますし、その人気度は、しばしばリアルにも影響を及ぼすことがありますが、この世界では、SNSで獲得した(or喪失した)評価は、そのまま履歴書のように実生活に直接影響します。
高評価者は特別なプライム待遇として、様々な特典が受けられたり、逆に評価が低ければ、雇用の機会や受けられるサービス、入れる区画などに制限がついたりします。
しかもその評価は、全ての人が自由に閲覧でき筒抜けですから、評価が高ければ初めから好意的に接されるし、低ければそれだけで何もしていなくても忌避され、格差はますます深まり広まります。
一度評価を落とすと、その評価をあげるのは大変であるのは、信頼と一緒ですが、信頼という形無いものとは違い、その評価はAR技術によって自分の名前と共にどこまでいっても全ての人がはっきりと数値で閲覧できる形で付いて回るので、最悪引っ越しでもして誰も自分を知らない土地に行けば、もう一度いちからやり直せるというわけでは無いという点で、信頼を失ったり前科を持ったりすることよりもさらに致命的です。
今日のわたしたちが、メディアやコミュニケーションにおいて持っている強迫観念や、それによって引き起こされる行動に、どのような潜在的な落とし穴があるかということを、実に風刺的に、強調、誇張されて描かれています。
主人公レイシーは、自分の評価を維持、向上させるために、豊かな生活を演出し、常に他人に気をつかい、慎重に言葉と態度を選んで生きていますが、ひとつボタンを掛け違ったことから、原題の通り、彼女は人生を評価とともに”急落”していきます。
その”落ちっぷり”が実に見事で、突き抜けていて、本人の本来の価値観からすれば、まさにどん底の結末ですが、ラストシーンの憑き物が落ちたような開放的な雰囲気に、この物語を見終わったあと妙な爽快感に襲われます。
失ってみて初めて大事だと気づくことも、人生には多々ありますが、失ってみて初めて、くだらないと気づくことだってあるんだろうと思います。
なんだか元気が出るような、妙なポジティブさがある喜劇のような悲劇。
見るか見ないか迷ってらっしゃる方には、筆者は淀みなく視聴することをおすすめする、素晴らしい作品でした。
ネタバレあり結末・ラスト・考察・感想
⚠以下ネタバレを含むので視聴前の方はご注意ください。
私の知り合いの女性も、学生時代グループから疎外され、いじめられたり陰口を叩かれたりした経験があるにもかかわらず、その行為を率先してやっていたグループのリーダー格の女友達を、今でもどこか憧れて、必死に近づこう、認められようと頑張っていました。
この物語では、ナオミという、現代の女性が抱く充実した生活や幸福感のステレオタイプを地でいくような存在に、主人公レイシーはなんとか気に入られよう、認められよう、評価されようと努力します。
認められたい、評価されたい、ひいては幸せになりたい、豊かに生きたい、と願ったり努力したりすることは、皆思う存分すべきだと思うのですが、全然生まれも育ちも違う皆が皆、同じような価値観に擦り合わせられて、同じ成功や評価を求めて生きると、レイシーのような悲劇が起こるのかなと感じます。
この”ランク社会”の指標となっている星は、大多数が抱く一通りの成功や評価の形しか表しません。
多様な成功、多様な価値観、多様な美意識などは、一つの基準で表せるものではない、というのは、言葉にすれば簡単ですが、現実を見ると、得てして単一の価値観が覇権を握り、多くの人がそれに当てられて右往左往、自分が本当に追い求めたいものがなんなのかを見失いながら追い求めているというのは、現代を生きる私たちにそのまま当てはめて考えることができます。
この評価制度は、マイノリティがマイノリティのまま生き生きと自己追求できる社会からは、対極の方角に向かう仕組みと言え、SNSが内包する危険性の一端を、鋭く取り上げて誇張して上手くストーリーにして見せてくれているドラマであると思います。
最後のシーン、落ちるところまで落ちた絶望の淵で彼女が口にした言葉の数々は、汚く相手を罵る、攻撃的で、激情のままに撒き散らかされる最低な表現ばかりでしたが、それらは実に開放的で、爽快で、彼女が今までひきつった笑顔の奥にしまいこんでいた、本当の彼女の豊かな人間味のある姿であり、観る者にある種の救いを与えて幕を閉じます。
今まで聞いた中で、最も爽快な「ファ●ク・ユー」だったかもしれません(笑
また、一番ラスト、黒人の男とレイシーの顔が交互に映されるエフェクティブで印象的な演出で、このドラマシリーズのタイトルであり、テーマである「ブラック・ミラー」が実に見事に表現されていたようにも感じました。
ブラック・ミラーシリーズ恒例のイースターエッグネタでは、レイシーが開いているSNSの画面の右サイドバーには、「HIGHEST RATED POSTS」として、読み取りづらいですが、上から3番目にMichael Callow(シリーズ1第1話「国歌」の首相)による次のような投稿が人気を集めています。
Just got thrown out of the zoo again :(
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首相…
ブラック・ミラー シーズン3-1「ランク社会」より
また、その首相が例の行為をせずとも済むよう手配した(この計画はすぐに犯人にバレてダメになりますが)特殊効果のスペシャリストは、特殊効果でエミー賞を獲ったと紹介されますが、その作品が”静かの海”でした。
ブラック・ミラーより
第二話はドキドキの恐怖感がハンパない!
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