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ブレードランナー 2049 感想と評価「つまらない」「思ったよりも面白くない」 | 最新作映画レビュー




RR

*この記事は、新作続編映画『ブレードランナー 2049』についてのレビュー記事です。

旧作『ブレードランナー』のレビューや評価等ご覧になりたい方は、下のリンクからどうぞ。

映画『ブレードランナー』ネタバレあらすじ/感想/評価 | ファイナルカット版レビュー

 

目次

 

ブレードランナー 2049
ブレードランナー 2049日本版ポスターより

 

映画基本情報・解説

劇場公開日 2017年10月27日
上映時間・方式 163分・2D/3D
邦題名 ブレードランナー 2049
原題名 Blade Runner 2049
製作総指揮・監督・ディレクター Sir Ridley Scott/リドリー・スコット
Denis Villeneuve/ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作・脚本 Philip Kindred Dick/フィリップ・K・ディック
Hampton Lansden Fancher/ハンプトン・ファンチャー
Michael Green/マイケル・グリーン
主演男優 Ryan Thomas Gosling/ライアン・ゴズリング
主演女優 Ana de Armas/アナ・デ・アルマス
ジャンル SF/ファンタジー/アクション/サイバーパンク
おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)

 

 『ブレードランナー 2049』は、リドリー・スコット監督による1982年に公開されたSF映画で、”サイバーパンクの金字塔”と言われるカルト的人気を誇る大ヒット傑作『ブレードランナー』の、35年越しになる続編である。

フィリップ・K・ディックの名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(Do androids dream of electric sheep?)』が原作。

 

本作は、製作総指揮をリドリー・スコットが務め、『渦 - Maelström』や『静かなる叫び - Polytechnique』『プリズナーズ - Prisoners』『メッセージ - Arrival』など代表作で知られるドゥニ・ビルヌーブが新たに監督を務める。

 

前作2019年の舞台を30年後の世界に移し、主人公であるロサンゼルス警察局のブレードランナー「K」が、レプリカントに関して、人間とレプリカントの関係を根底から覆してしまうような、ある重大な秘密を知ってしまうことから、物語は始まる。

 

キャスト・出演者

俳優名 キャラクター役名
Ryan Thomas Gosling/ライアン・ゴズリング K
Ana de Armas/アナ・デ・アルマス ジョイ
Harrison Ford/ハリソン・フォード リック・デッカード
Sylvia Hoeks/シルヴィア・フークス ラヴ
Robin Wright/ロビン・ライト ジョシ
Mackenzie Davis/マッケンジー・デイビス マリエッティ
Carla Juri/カーラ・ジュリ アナ・ステライン
Lennie James/レニー・ジェームズ ミスター・コットン
David Michael Bautista, Jr./デビッド・バウティスタ サッパー・モートン
Jared Leto/ジャレッド・レト ニアンダー・ウォレス

 

ストーリー・あらすじ

 

ロサンゼルス警察局のKは、ブレードランナーとしての任務中、秘密を守って暮らす旧型レプリカントの生き残り、サッパーを”解任”する。

 

そこで発見した物を調査分析する中で、人間とレプリカントの関係の均衡を、覆すような驚くべき秘密を知る。

 

その事実を巡って、新型レプリカントの製造でオフワールド(地球外世界)に人類の覇権を広げようと野望を抱くウォレスや、人類にとっての脅威として握りつぶそうとするロサンゼルス警察局の幹部ジョシ、レプリカントの自由と自立を掲げる革命運動のリーダー、三者三様の思惑が入り乱れ、その中心で翻弄されるK。

 

彼がかつて持っていた、確たるレプリカントとしてのアイデンティティは、その捜査を続ける中で揺らぐようになり、上司であるジョシから謹慎命令が出されるが、独自の捜査を続け、その先で、自分の頭に残るある”記憶”を紐解くことにより、自分の中に隠された秘密を明らかにしていく。

 

その秘密は、やがて前作で登場したレプリカントの女レイチェルと去ったデッカードへと繋がっていきます。

 

Kとは一体何者なのか?

サッパーら旧型レプリカントが必死に隠し通してきた真実が、この世界に、人間に、一体どのような運命を突きつけるのか?

 

それを知る覚悟はあるかー。

 

映画館でブレードランナー 2049を見た感想・評価(ネタバレなし)

 

オープニングで、超巨大なソーラー発電システムが映し出されるシーンや、途方もなく続く退廃的なロサンゼルスの街並みなどを見た時、さすが前作で”サイバーパンクの金字塔”と絶賛されただけある、圧倒的な世界観に息を飲み、ワクワクとぞわぞわ感が半端ない感じでした。

 

この作品のテーマとして根底に常に流れているのは、”レプリカントとして生まれてきた者が持つ運命の痛切さ”のようなものです。

 

私は始め、もっともっとアクション要素の多い、緻密に作り込まれた未来の退廃的な設定の世界観の中での、単純に言うと”陰謀を企む悪”と”運命に立ち向かうヒーロー”の痛快などんぱちのような展開を予想しており、またそういったエンターテイメント性の高いものを期待してもいたので、思ったよりも静かに、叙情的に進むストーリーに、どこか物足りなさというか、もったいなさみたいなものを感じました。

 

とにかく世界観が圧倒的で、俯瞰的に見る都市やビル群、または荒廃して生き物が絶えた終末的な景観などが、見る者を魅了してゾクゾクさせるのですが、その魅力的な世界観を活かすには、展開が地味で、退屈だとかつまらないとまでは言いませんが、勿体ないと、思ってしまいました。

 

例えばもっとその魅力的な都市の建物の内部までしっかり描いてほしかったですね。

俯瞰的に見たらその圧巻のヴィジュアルに圧倒されますが、じゃあその内部は具体的にどんな感じになっているのか、その中でキャラクターたちが動き回ってそこで生きている感じをもっと味わいたかった。

 

時間を使って描かれる場所は、工場や劇場跡など、現代でも味わえるような建物の内部の様子が多く、せっかくの作り込まれた世界観が、ハリボテのまま終わってしまった感が否めませんでした。

 

または、もっとこの科学技術が夢の領域まで達している未来世界ならではの戦闘シーンが見たかったというのもあります。

 

主人公Kが最後のクライマックスで繰り広げるアクションシーンも、派手なアクションやテクノロジー要素は一切無い、実に泥臭い内容の戦いとなっていました。

 

これにはこれの、壮絶さ、みたいなものがあり、特に相手役を演じたシルヴィア・フークスの鬼気迫る演技には、女優魂を感じ、この映画の中でも特筆すべきものだと感じました。

 

でもやっぱり、この世界ならではの戦い方みたいなのも、求めてしまう気持ちもかたや捨て切れませんでした。

 

ララランドのライアン・ゴズリングの悲壮感漂う名演、「世界で最も美しい顔」9位に選ばれたという経歴を持つヒロイン、アナ・デ・アルマスの美貌などは、やはり見所で、それ目的だけでも、映画館に行く価値はあると言えるでしょう。

 

ラストシーンに関しては、前作同様、ある程度視聴者に委ねられる部分が設けられており、その後どうなるのだろうとか、キャラそれぞれの心情だとか、様々に自由に解釈して楽しめる、のりしろのある作品と言える仕上がりとなっています。

 

ブレードランナー2049は駄作?つまらない?

 

メディアによる海外の反応は、「SFの傑作!」「2017年最高の作品!」「前作を超えた!!」と絶賛が飛び交っているようで、評判は上々のようです。

一方レビューで国内の反応では、「思ったよりもつまらない」「大コケ」という批評・酷評の声も一定数あるのも確か。

 

前作『ブレードランナー』も、発表当時多くの不評を呼んだようですが、今回も面白くない、つまらない、退屈だという声はかなりあるようです。

 

特にアクション性、俳優たちがカッコよく活躍する姿や、派手な大立ち回りを期待して観ると、期待はずれになるという可能性が高いです。

シリアスな邦画のような、無言の表情や意味深なセリフに長い時間を使う感じが強いです。

 

セリフに専門的で難解な、前作ブレードランナーを観ていないとわからないようなブレードランナー用語などはほとんど見受けられませんし、前作を見ずとも、この作品だけで楽しめる内容にはなっていますので、予習が必要かとご心配の方は、それほど憂慮されることは無いと思います。

 

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が伝えたいこと、それを味わうように観る、派手さが抑えられた情感に訴える作品と言えるでしょうか。

 

私の個人的な評価としましては、もうすこしエンターテイメント性を期待していたのと、大きく大きく広げられた風呂敷が、長い上映時間を通してもあまり畳まれないままに放り出された感じを受けるところが多く、魅力的な世界観、圧倒的に美しいヴィジュアル・映像美とのプラス要素との兼ね合いから、最終的に星6つの中評価とさせていただきます。

 

観るか観まいかと迷われている方の、何かの一助となれば幸いです。

 

ちなみに、このページの下部で”ネタバレあり”の感想もすこし垂れております。

もしそちらもご覧になりたい方は、下のリンクをクリックしていただけたら、ページ内リンクで直接ジャンプします。

 

ネタバレ感想・考察・結末へジャンプ

 

また、前作『ブレードランナー』のレビュー記事も書いておりますので、そちらもぜひ合わせてお読みください。

映画『ブレードランナー』ネタバレあらすじ/感想/評価 | ファイナルカット版レビュー

 

youtube予告編動画(日本語字幕あり)

 

日本版オフィシャル・トレーラー1

 

日本版オフィシャル・トレーラー2

 

日本版オフィシャル・トレーラー3

 

インターナショナル版TVスポット

 

『ブレードランナー 2049』の前日譚 - ”ブラックアウト 2022”・”2036 ネクサス・ドーン”・”2048 ノーウェア・トゥ・ラン”3つの関連無料動画

 

前作の舞台2019年から今作2049年の間の、空白の30年間を埋める、ブレードランナーの世界観をより深く楽しむための三本の短編作品。(字幕あり)

映画観賞前でも後でも、無料視聴できるので一見の価値あり。

 

特に渡辺信一郎監督によるショートアニメーションムービー『ブラックアウト 2022』は、独立したストーリーとしても楽しめるクオリティを持つ、非常にクールな必見の作品です!

 

ブラックアウト 2022

『カウボーイビバップ』『アニマトリックス』『サムライチャンプルー』などで知られる渡辺信一郎監督によるショートフィルムアニメ。

ロサンゼルスを舞台に2022年に起きた大停電-ブラックアウトを巡るストーリー。

 

2036 ネクサス・ドーン

リドリー・スコットの息子である、ルーク・スコットが監督を務めた短編作品。

新型レプリカントを使った科学者ウォレスの陰謀とは…

 

2048 ノーウェア・トゥ・ラン

引き続きルーク・スコットが監督を務める短編作品。

本作の舞台の1年前となる2048年、旧型レプリカントであるザッパーは逃げ込んだ街で身を潜めて暮らしていたのだが…

 

”ブレードランナー”タイトルの意味、”レプリカント”の由来

 

ブレードランナーとは、もともとSF作家アラン・E・ナースの小説『The Bladerunner』の中で、Bladeと呼ばれる非合法医療器具の密売人のことを現すのに使われる名称でした。

 

この小説を元にウィリアム・S・バロウズは『Blade Runner (a movie)』という小説を書きますが、この二つの作品と、本作『ブレードランナー 2049』の内容には、なんら関係性はありません。

 

しかし、リドリー・スコットのインタビューに依ると、デッカードの職業名を探しているうちに、例のバロウズの小説で、「ブレードランナー」という名前を見つけ、名前のみを借りたのだそうです。(エンドクレジットにナースとバロウズに対する謝辞が記されている。)

 

そういうわけで、”ブレードランナー”という言葉には、本編の内容と深い繋がりや意味はありません。

 

”ブレードランナー”という名称が決まる前は、『デンジャラス・デイズ - Dangerous Days』というタイトルだったそうです。

 

また、「レプリカント」という名称については、原作の「アンドロイド」という名称が機械的な連想を強く呼び起こすことを理由に、脚本家であるデヴィッド・ピープルズに依頼して新しい名前を考えてもらったところ、クローン技術の”細胞複製(レプリケーション)”から想起して「レプリカント」という言葉を造語したとあります。

 

ネタバレ感想・考察・結末

 

主人公Kは、結局レプリカントから奇跡的に生まれた男の子ではなく、その存在を隠すためにカモフラージュに使われた存在でしか無かったという、辛い運命にあるのですが、それはそれで良いとして、物語の冒頭で、全ての動乱の発端となるサッパーに関わったのが、必然性の無い、任務の上でのものすごく低い確率の”偶然”でしか無かったのが、観ていてスッキリしませんでした。

 

主人公がKである必然性をもっと感じたいと言いますか、例えばじゃあ、その日たまたまKが非番だったりしたら、この物語は始まりさえしなかったのか?!みたいな気持ちになってしまって。

 

スッキリしないというと、ラストシーンで、施設の中でガラスの部屋に閉じ込められていた娘を、主人公はデッカードの娘だと確信して連れていきますが、これもやはり、どこに娘だと確信できる要素があったかな?という疑問が残りました。

確かに、Kの記憶を覗いて、涙を流して「これは誰かの本当の記憶」だと言い切りましたが、それだけで特定するというのは、少し根拠として弱いようにも感じますので、もうちょっとはっきりと分かりやすく描いてもらえると、もやもやしないで済むなとか思いました。

 

ラブとジョイの対比

 

この物語で、特に心の琴線に触れてくるキャラクターは、私の場合ラブでした。

 

彼女は、すごい強く一途な意思を持って常に行動し、主人であるウォレスの理想を達成することにひたすらに邁進します。

 

かといって、単に冷徹無比のロボットと化しているわけではなく、ウォレスがレプリカントを刺して処分してしまったり、目的の遂行のために障害となったジョシを刺さなければいけなかった時も、躊躇も動揺も表情や動作に現れませんが、でも涙を流しています。

 

そういうところから、強い意思で大義のために自分を律しているラブの心情を伺えます。

 

大義のために倒れるのは何よりも人間らしい”という言葉が作品の中にセリフとして出てきますが、ラブはレプリカントとしての運命を受け入れ、主人ウォレスの大義を果たすことを最上の目的として生きる、非常に人間らしい女性であると感じます。

 

それは例え道を踏み外していたとしても、”愛”なのでは無いかとも考えました。

 

また、この作品には主に2人の女性が描かれます。

それはラブともう一人、主人公の恋人役となるジョイです。

 

でも、このジョイは、ラブとは極めて対照的な存在です。

彼女は彼女自身の意思で何かをすることはできず、ひたすらに受け入れるだけの存在です。

そういった、”ラブ”と”ジョイ”の対比というのも、この物語の一つのテーマなのかもしれません。

 

木でできた馬の意味

 

前作『ブレードランナー』では、ユニコーンがデッカードの存在について重要なシンボルとして扱われました。

今作では、Kの存在を左右するシンボルとして、木製の馬の玩具が出てきます。

 

前作では、デッカードは人間だとされているけど、もしかしたらレプリカントかもしれない、という含みを持たす意味合いで”ユニコーン(幻を表す象徴)が出てきました。

 

今作では真逆で、Kはレプリカントですが、もしかしたら人間の血を引いた、デッカードの息子かもしれない、という希望を持たす意味合いで”馬(現実を表す象徴)を使ったのでしょう。

 

また、デッカードの住処では、同じような木でできた馬以外の動物の置物のシリーズがあるのを、Kがふと見やるシーンが出てきます。

 

その中で敢えて馬を選んで娘に託したデッカードの心情を思いやるならば、自分やレイチェルは幻(ユニコーン)のような存在かもしれないが、この子だけは、本物の命を宿した真実の存在(馬)であってほしいという願いが込められているのかもしれません。

 

前作『ブレードランナー』のレビュー記事もありますので、そちらもぜひ合わせてご覧ください。

映画『ブレードランナー』ネタバレあらすじ/感想/評価 | ファイナルカット版レビュー

 

旧作『ブレードランナー』が視聴できる動画配信サービス

 

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『ブレードランナー ファイナル・カット』や『ディレクターズ・カット ブレードランナー 最終盤』が見たいなら、3バージョンを独占配信していて全て見放題料金内で見れるhuluが最もおすすめです。

 

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『ブレードランナー 2049』のDVD・ブルーレイ発売日や動画配信サービスでの配信日速報

 

『ブレードランナー 2049』のDVD・ブルーレイ発売日やレンタル開始日、動画配信サービスでのリリース日、テレビ放送予定等は未定です。

DVD等発売開始は2018年2月か3月頃なのでは?という不確定な情報もあります。

続報が入り次第更新いたします。

 

ちなみにシリーズ1作目『ブレードランナー』関連のアマゾン商品通販情報は次のようになっています。

*ブルーレイ版・DVD版にご注意ください。

 

「劇場版」「完全版」「ディレクターズカット最終盤」が見れるブレードランナー クロニクル[Blu-ray]
ブレードランナー ファイナル・カット[Blu-ray]
ブレードランナー コレクターズボックス[Blu-ray]
ブレードランナー アルティメット・コレクターズ・エディション[DVD]
特典メイキング映像・オリジナルフィギュア付き

 

ブレードランナー各種編集全バージョンの違い・まとめ

1982年に公開された旧作ブレードランナーには、通常版を含め

 

  • リサーチ試写版
  • オリジナル劇場版
  • ディレクターズカット 最終版
  • インターナショナル劇場版(完全版)
  • ファイナルカット

 

の5バージョンがあります。

 

それぞれリメイク版には小さなマイナーチェンジ、カットやセリフなどの差があり、ファイナルカットでは、デジタル加工が施され、「幻の高画質の特撮シーン」と言われていた映像が使われています。

 

古い作品ですので、どれを見ればいいか迷う方は、なるべく美しい映像で見れるということで、ファイナルカットがオススメです。

 

更にコレクターズボックスでは、リサーチ試写会で使われたワークプリント版が収録されており、マニアにはたまらないこのバージョンでは、意味不明だったうどんの「2つで充分ですよ」の謎が解けます。

 

前作『ブレードランナー』についての感想・レビュー記事はこちら!

 

映画『ブレードランナー』ネタバレあらすじ/感想/評価 | ファイナルカット版レビュー

 

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