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ブラックミラーシーズン4 第6話『ブラック・ミュージアム』感想と評価


ブラックミラーシーズン4第6話『ブラック・ミュージアム』に関する、ネタバレなしの感想や評価と、ネタバレありの結末や考察を書いています。

 

目次

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

監督 キャスト情報

邦題 ブラック・ミュージアム
原題 Black Museum
監督・ディレクター Colm McCarthy/コーム・マッカーシー
原作・脚本 Charlie Brooker/チャーリー・ブルッカー
主演男優 Douglas Hodge/ダグラス・ホッジ
主演女優 Letitia Wright/レティーシャ・ライト
動画配信サービス Netflix
ジャンル 海外ドラマ/SF
おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆(6点)

 

ネタバレありあらすじ ストーリー

 

主人公の女性ニッシュが、荒野のガソリンスタンドに寄り添うように唐突に建っている”ブラック・ミュージアム”という博物館のような場所にやってくる。

 

中からロロ・ヘインズという名の男が出てきて、彼女を中に誘う。

 

ブラック・ミュージアムの中では、因縁付きの品々が保管されていた。

 

ロロ・ヘインズが様々な品にまつわる恐ろしいエピソードをニッシュに聞かせる。

 

医師のピーター・ドーソンが、他人の痛みが肉体的ダメージなしに感覚だけで感じ取れる装置をインプラントしたが為に陥った悲惨な状況と、その結果取った恐ろしい行動。

 

亡くなった人の人格を別の脳やその他媒体に移転させることができる装置が開発され、それを使ったが為に、存在自体が罪となってしまったキャシーの悲劇。

 

さらにロロ・ヘインズは、目玉の見世物として、嬉しそうに奥に案内する。

 

そこでニッシュが見たものとは、3Dのホログラム映像でまるでそこに居るかのように映し出される、クレイトン・リーという男の姿だった。

 

彼は一体どうしてこんな場所でホログラムとなってまで囚われ、見世物となっているのか…?

 

ネタバレなし感想・レビュー

 

 シーズンラストのエピソードで、しかも”ブラック”というシリーズのキーワードがタイトルに含まれているだけに、かなりの期待度で鑑賞しました。

 

それが悪かったのかもしれませんが、結構、なんというか、その、平凡というか、感想としては良くも悪くも無く、普通の、期待値から言うと正直期待はずれの作品でした。

 

この作品は、極めて『ホワイト・クリスマス』と似た造りとなっています。

 

二人の人間が居て、謎めいた空間で、片一方が不思議で悲しい物語を語り始めます。

 

1つ目のエピソード、2つ目のエピソード、そして3つ目のエピソードが語り終えられた時、この二人の人間の関係性が明らかとなり、ラストシーンにどんでん返しがある、というような流れです。

 

ちなみに『ホワイト・クリスマス』は、私は10点をつけたほど感心しました。

 

一つ一つのエピソードが、それ一つで一個の作品になるほどの魅力があり、それが三つも詰め込まれた上に、ラストの衝撃度はさらに凄かったからです。

 

この『ブラック・ミュージアム』で語られた三つのエピソードは、一つ一つがどうも魅力に欠けていた上に、ラストの衝撃がほとんど無かったんですよね。

 

うまく繋げて、前振りで語られたエピソード三つを、最後一つにまとめたなとは思いましたが、それもちょっと強引なまとめ方のように感じました。

 

ロロ・ヘインズが語る各エピソードには、それぞれブラックミラー的な近未来の科学技術が登場しますが、それらは、その結末を作り出すために取ってつけたように作られた感が強かったです。

 

面白く無かった、とは言えないのですが、面白かったとも言い難いです。

 

見たら損するとかそんな感じは全然無く、すごく完成度の高い作品ですが、シーズンのラストを飾る作品だっただけに、ちょっと残念感が残るという感じではありました。

 

ネタバレあり結末・ラスト・考察・感想

 

以下ネタバレを含むので視聴前の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

この物語がどうも感情移入しにくく、面白さに欠けるなと思った一つの要因として、全てが取ってつけたようだったから、ということが言えます。

 

あの医者のピーター・ドーソンが、他人の痛みを受信できるなんていう、明らかに危険な装置を自分に埋め込むことをいとも簡単に承諾して、そしていとも簡単に案の定壊れていく感じとか、人の意識を自分の脳に移植するなんていう、これまた明らかに危険な行為をいとも簡単に承諾するほど、深くキャリーを愛していたのであろうジャックが、いとも簡単に隣の黒人女性とくっつく所とか、どうしてロロ・ヘインズはそうやって他人の人生をめちゃくちゃにして全然平気なのかとか、なんの恨みもないクレイトン・リーをあそこまで、親の仇かというほど苦しめていたのも、何も描かれきられずに、共感できないままでした。

 

とにかく悲劇的な状況を作り上げるために状況やキャラクターを取って付けたように配置した感じで、感情がついていかなかったのが、いまいち引き込まれなかった要因かなと思います。

 

普通に使っていたらすごく便利で夢のような技術だけど、使い方を誤ったらとんでもない悲劇を招く、というような技術なら分かるんですが、今回出てきた”感覚だけを転送する機器”とか”意識を他人の脳などに移植する装置”とか”亡くなった人の意識をホログラムにする技術”とかいうものは、ただ悲劇的な結末を導くためだけに考えられた、取って付けたような技術のようにしか思えないんですよね。

 

ブラックミュージアムのイースターエッグ

 

しかし、この作品は別の楽しみ方があります。

 

”ブラック・ミュージアム”というだけあって、今までのネタがミュージアム内に散りばめられてありました。

それらを振り返るのはなかなか面白いかなと思いますので、ちょっと詳しく見ていきたいと思います。

 

まずこちらは、ニッシュが持ち物検査を終えてミュージアムに入って行く時の通路の映像。

バックにシーズン2第2話『シロクマ』のヴィクトリア・スキレーンがどどんと映ってます。

「父がこっちに住んでて」というセリフも、結末を知った後にもう一度見ると、そう、そうですよね、って感じです。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

ほぼ同じ場面ですが、タイミングによって見える文字で、左の壁に様々な英語のメッセージが見て取れます。

下の画像では少し読み取りにくいですが、これは、ニッシュがこれから起こす行動を暗示しているような内容となっています。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

この廊下を進んだ先は、シーズン3第2話『拡張現実ゲーム』の館の内装のようになっており、シーズン3第4話『サン・ジュニペロ』でヨーキーが着たウェディングドレスも置かれています。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

また、その先にあったこの石膏のお面たちは、ブラック・ミラーのクリエイターたちで、髭面のチャーリー・ブルッカーらしき人物も見て取れます。 

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

これはもちろんシーズン3第6話のADIのハチ型ロボットですね。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

こちらはシーズン4第2話『アークエンジェル』のタブレット。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

こちらはまたもシロクマの、追跡者ですね。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

これはシーズン4第1話『宇宙船カリスター号』で登場したジェームズ・ウォルトンの子供トミーの舐めたロリポップ。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

このバスタブはシーズン4第3話『クロコダイル』のもので、その向こうに釣り下がっている人形は、おそらくシーズン1第1話『国歌』の犯人でしょう。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

シーズン1第2話『1500万メリット』のコミックまで出てきました。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

結構中身まで作り込んでます。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

さらに、知覚を移送することには失敗しましたが、痛覚を送信できることに気づくきっかけとなったモルモットの名前は、ケニーとヘクターでした。

これはシーズン3第3話『秘密』の主人公とおっさんの名前です。

 

下の画像のクレイトン・リーが付けられた機器のデザインは、『宇宙船カリスター号』のデイリーがゲームにログインする時に使った機器とまったく一緒です。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

そのクレイトン・リーのニュースが映し出された下に、赤線の部分、ごく小さな文字で「autonomous military dog robot unveiled.(自律型軍用犬ロボットが発表されました。)」とテロップが流れています。

これはもちろんシーズン4第5話『メタルヘッド』のあの犬ロボットのことで、この発表から何年後か何十年後かに、ベラがテディベアを取りに行って散々な目に遭うのでしょう。

 

ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」
ブラック・ミラー4-6「ブラック・ミュージアム」より

 

このジャックとキャリーの悲しい物語に入る前、ロロ・ヘインズが「誰かの存在が頭の中から離れなくなった経験は?」と聞き、ニッシュは意味ありげに斜め上を見て「あるわ」と答えます。

これも結末を知っていると、あるよね、という感じですが、その後話を始めようとするロロ・ヘインズが「ある日二人の男女が出会った。ジャックと…」と言った後、冗談で「ジル?」と言いますが、これはデニス・デューガン監督、 アダム・サンドラー主演のコメディ映画『ジャックとジル』からきています。

 

二人の会話には頻繁にサンジュニペロという単語が出てきますが、そこから分かることとは、”サンジュニペロ”とはもともとこのロロ・ヘインズが働いていた病院の名前で、ここで開発された技術をTCKR社が応用して出来上がったのがあのヨーキーたちが居た空間で、技術元の名前を取って”サンジュニペロ”と名付けたようです。

 

同じ技術が元でも、ロロ・ヘインズの活用方法と、TCKR社の活用方法とで、人々に与える影響の違いが甚だしいですね。

 

TCKRというロゴも映像の各所で見られます。

もうイースターエッグを挙げているだけで、他に書く気力が失せるほどに、各所に散りばめられていました。

 

また、映像のどこかに“PM Callow marries pig”という、酷いニューステロップが流れているそうです。(*PM = Prime Minister = 首相)

私は見つけられませんでしたが、場所を知っている方はぜひ教えてください。

 

ではでは、シーズン5が出ることを祈って。

 

シーズン4第五話『メタルヘッド』の感想はこちら。

第五話『メタルヘッド』感想と評価

  

シーズン5『バンダースナッチ』の感想はこちら。

シーズン5『バンダースナッチ』感想と評価

  

ブラック・ミラー全話まとめ

 

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シーズン4『ブラック・ミュージアム』予告編youtube動画

 

『Black Museum』予告編