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ブラックミラーシーズン3第6話『殺意の追跡』感想と評価(ネタバレなし&あり)


ブラックミラーシーズン3第6話『殺意の追跡』に関する、ネタバレなしの感想や評価と、ネタバレありの結末や考察を書いています。

 

目次

 

ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」
ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」より

 

基本情報

邦題 殺意の追跡
原題 Hated in the Nation
監督・ディレクター James Hawes/ジェームス・ホウズ
原作・脚本 Charlie Brooker/チャーリー・ブルッカー
主演男優 Benedict Wong/ベネディクト・ウォン
主演女優 Kelly Macdonald/ケリー・マクドナルド
Faye Marsay/フェイ・マーセイ
動画配信サービス Netflix
ジャンル 海外ドラマ/SF/サスペンス
おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆(7点)

 

エピソード6ストーリー

 

SNSで炎上騒ぎを起こした有名人の怪死事件が連続で発生する。

 

女性二人の警部とその部下がタッグを組んで捜査に当たり、そして行き着いた手がかりは、誰にも想像がつかないような、小さな”物体”であった。

 

この手がかりを追っていく中で、徐々に犯人の複雑な手口と、不可解な犯行動機が明らかになっていく。

 

犯人はなぜ、炎上騒ぎを起こした人間を憎んだのか?

この犯人の”殺意”は、いったいどこから来て、どこへと行くのだろうか…?

 

ネタバレなし感想・レビュー

 

この物語は、謎の連続怪死事件、犯人の思想的な動機、用意周到で緻密な犯行などから、有名な映画で例えるなら、デヴィット・フィンチャー監督、ブラッド・ピット&モーガン・フリーマン主演の映画『セブン』などと雰囲気が似ているところがあります。

 

こういう映画で焦点となるのは、犯人の思想です。

 

こういった事件では、犯行の手口そのものが、犯人の思想を象徴しています。

結果ではなく、一連の犯行全てが思想的な背景に根ざしています

 

現代の私たちは、ネット上の匿名性の強みから、顔と名前を背負って発言するしかなかった時代よりもはるかに簡単に、他人に対して誹謗中傷暴言、果ては”殺意”まで、気軽に安易に安全に、届けることができてしまう時代となりました。

 

自分の発言、発信するものにかかる責任が、薄まっていく現象に対する、ブラック・ミラー的な警鐘の鳴らし方をした作品だと思います。

 

犯罪において、殺意というのは罪の重さを判断するのに、重要な材料となります。

 

殺意を表す言葉を、犯行の前に口にしたかしなかったか、たとえ結果は一緒でも、その有無だけで、犯人が背負うべき罪の量が違ってくるという現実が物語っているように、ただの言葉ただの気持ちただの表現が、取り返しのつかないほどの責任を帯びるのだということ、それはたとえ直接手を下していなくとも、同じだということを、極端なシチュエーションで教えてくれています。

 

この物語の犯人は重罪人ですが、では果たして、この犯人だけが、罪人であったのでしょうか?

 

ネット上、SNSなどで届けられるのは、ただの言葉、ただの気持ち、ただの殺意だけに止まらなくなるかもしれない。

そして他人に恐ろしい言葉を向けるという事が、自分にとってどういう意味を帯びるのか、というの事について、この物語で語られます。

 

ネタバレあり結末・ラスト・考察・感想

 

以下ネタバレを含むので視聴前の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

蜂群崩壊症候群という、ミツバチが大量に原因不明で失踪する現象があります。

 

私は趣味で農作物を育てていますが、こういうものを育てていて感じるのは、受粉させてくれる虫の大切さです。

これ無くして、人間は絶対に生き延びられないというのを、虫の受粉作業を観察していると、直に感じることができます。

 

このブラック・ミラー『殺意の追跡』の世界では、そういったミツバチの大量失踪により、世界の生態系が保てなくなりつつあるという設定で、ADIと呼ばれる、ミツバチの代替となる”ミツバチマシーン”が開発されています。

 

このミツバチマシーンが、花粉の媒介者となっているうちは良かったのですが、犯人の手によって、殺意の媒介者へと変貌してしまう、というのがこの事件の真相でした。

 

そしてそれは誰の殺意だったかというと、犯人のものではなく、ネット上で心無い言葉を不用意に乱用してしまう人々の意思でした。

 

物語の途中までは、ハッシュタグによる投票などが行われ、あくまでそういう投票をされる側の人間を弾劾するような調子で話が展開しますから、犯人の目的はそういった投票されるような人を断罪するために、この犯行を考えたというように思わせますが、ラストで犯人の思惑が、もっと根源的なものに向けられていたことが明かされます。

 

初めにジャーナリストに悪意のツイートや嫌がらせのケーキを送った人間が、幼稚園の保母さんだったというのも象徴的ですね。

一般的に愛情深いと思われているような、ごく善良な市民でもやってしまうようなこと。

今では、ネット上に、他人への悪意の言葉、罵詈雑言を書き付けたりすることは、そこまで当たり前の事になっているということを演出しているのだと思います。

 

その保母さんも言っています。

 

「冗談だったのよ。」

「本当に消えてもらいたいなんて思ってなかった。」

「何も悪いことはしていない。」

 

それは、ネット上でそういう言葉を使う人々全ての気持ちの代弁であったと思います。

 

しかし、これら心無い言葉が及ぼす影響に目をつぶって、果たして、直接手を下していないからと「何も悪い事はしていない」で済ませて良いのかどうか?

これからの時代の、重要な議題となりうるモラルについての話でした。

 

このエピソードに隠されたイースターエッグは、まず一つセリフにまで影響している大きなものとして、主人公の女性ブルーの転属のきっかけになった事件の話で、「ラノック事件」が触れられます。

これはシーズン2エピソード2「シロクマ」の、あのラノック事件のことです。

 

また、ニュースでハッシュタグのことが取り沙汰されている時、一瞬次のようなシーンが映し出されます。

ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」
ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」より

 

イースターエッグネタで散々な目にあっている、「シロクマ」の主人公女性がまた吊るし上げられています。

 

他にもあります。

ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」
ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」より

 

上から、「HARLECH SHADOW V」はシーズン3エピソード2「拡張現実ゲーム」に登場したゲームの名前。

#FREETHEWHITEBEARONE」は、転じて「シロクマ」の彼女を、あの施設から解放しようというネット上の意見も高まっていることも伺えます。

MICHAEL CALLOW」はシーズン1エピソード1「国歌」の不幸な首相。

 

ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」
ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」より

 

上の画面には、「拡張現実ゲーム」のShou Saito氏が、HARLECH SHADOW Vの続編、HARLECH SHADOW Ⅵについて発表したこと、スペシャルエピソード「ホワイト・クリスマス」に関係して、”ECHR(European Court of Human Rightsの略と思われる)がcookie達にも人権がある”と規定したこと、最後には画像に映り切っていませんが、「Reputelligent shares nosedive」と、シーズン3エピソード1「ランク社会」についても触れられています。

ちなみに”Reputelligent”とは、「ランク社会」のエピソードの中で出てきた、評価を上げるためのコンサルティングをしている会社の名前です。(下画像参照)

 

ブラック・ミラー シーズン3-1「ランク社会」
ブラック・ミラー シーズン3-1「ランク社会」より

 

他にも、この映像の中では、シーズン3エピソード5「虫けら掃討作戦」に関係して、「US military announced MASS project」と速報が入り、その横にはかすかに、Shou Saito氏の名前も出ています。

 

ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」
ブラック・ミラー シーズン3-6「殺意の追跡」より

 

シーズン最終話だけに、総括的に色々な要素を散りばめてきていますね。

シーズン4でも、こういったイースターエッグネタにも並行して注目しながら、ブラック・ミラーの世界を楽しめると良いですね。

 

第五話のレビュー記事も合わせてご覧ください。

ブラックミラーシーズン3第5話『虫けら掃討作戦』感想と評価(ネタバレなし&あり)

 

シーズン4第一話『宇宙船カリスター号』はこちら

ブラックミラーシーズン4第1話『宇宙船カリスター号』感想と評価

 

ブラック・ミラー・シーズン別個別記事

『ブラック・ミラー』の感想・レビュー記事を、ひとつにまとめました。

別のエピソードのレビューも気になる方は、ぜひこちらをご覧になってください。

 


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